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Vol.19
「北島康介」

2012/08/09

 ロンドンオリンピック真っ最中である。連日、日本人選手の活躍が報道され、寝不足の日々が続いている国民も多いと思う。オリンピック前半が終わって印象的だったのは競泳の北島康介選手である。
 100m、200m平泳ぎオリンピック3連覇を期待され、当然自分でも狙っていたであろうが、結果は銅メダルにすら届かなかった。100m決勝が終わった時点で北島選手の顔は、いつもの自信に満ちた顔ではなかった。得意の200mでなんとかしないと、という悲壮感さえ漂っていた。そして200m決勝。わずかにメダルに届かなかったが、素晴らしい泳ぎでレースをやりきった。水泳の素人が言うのもなんだが、北島選手は前半押さえ気味に泳ぎ、最後の50mのターンから一気にペースを上げ、最後15mで彼独特の伸びやかな泳ぎでトップに立ちそのままゴールするのが今までの戦法であったように思う。しかし今回、彼は前半から勝負に出た。100m決勝から彼は随分悩み苦しんだと思う。常人の私には計り知れないくらいの苦悩であろう。そこで彼は今の自分の実力を冷静に判断し、コーチの意見に素直に耳を傾け、いままでの戦法を変えてきたように思う。大変な決断だったであろう。現実にはその戦法は成功しなかったのだが、レース後のインタビューでは「やりきった」男の清々しい顔がそこにあった。オリンピックという大舞台で、冷静に自分を判断し、新しい戦法にチャレンジする勇気に私は感動した。銅メダルに輝いた立石選手に心から賞賛の抱擁をした彼の姿も忘れられない。日本競泳陣を牽引してきた彼が、「よく頑張ったな。後は任せるぞ!」と言っているかのようであった。
 日本競泳陣の活躍は本当に素晴らしかった。最終の400mメドレーで初の銀メダルを獲得したが、試合後に松田選手が北島選手以外の入江選手、藤井選手の3人で「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかねえぞ!」と話したことを明かした。そんなことを知らない北島選手自身もメドレーでは100m決勝のタイムより1秒以上早いタイムでトップに立ち、銀メダルに貢献した。なんと素晴らしいチームであろう。そして、これらは観客席で応援していた日本選手も含めて日本競泳チーム27人全員の勝利であった。
 今回のオリンピックでは、どの競技の選手も試合後のインタビューで「今まで支えてくれたすべての人」に感謝するコメントをしている。東日本大震災で人の「絆」の大切さを感じている日本人は、いまロンドンで大活躍している。連日夜中に放送される競技を見るのはつらいが、見ないわけにはいかない。
 がんばれ!ニッポン!