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Vol.21
「TOKYO 2020」

2013/09/10

 「TOKYO 2020」。JOCロゲ会長がこのカードを読み上げた瞬間、日本中が沸き立った。日曜日早朝の出来事である。ブエノスアイレスで行われたIOC総会にて2020年オリンピックの東京開催が決定した瞬間である。飛び上がって男泣きするフェンシングの太田選手を見て、涙が出た。
 4年前にオリンピック東京招致が失敗して以来、諦めずに、しかし確実な戦略と戦術を持って招致委員会の方々は本当に苦労され、そして全員で勝ち取った勝利である。「チーム力」や「絆」は最近の日本躍進のキーワードである。W杯女子サッカー、WBC野球、ロンドン五輪の男子水泳陣など、チーム一丸となって勝ち取ったものは多い。今回の招致委員会も「All Japan」を掲げており、その集大成が「最終プレゼン」であった。
 最初に、静かに高円宮妃久子さまが演壇に立たれ、東日本大震災に対する支援に対しお礼をIOC委員に述べられた。凛としたお姿の中に華やかさがあり、あれほど気品のあるフランス語と英語を話す日本人がいるのかと驚くほど、素晴らしいスピーチであった。そしてトップバッターがパラリンピック陸上の佐藤真海選手であった。彼女の明るい、そして心に響くメッセージは世界中に伝わった。わずか1週間前にトップバッターであることを告げられ、スピーチ原稿はそれほど達者ではない英語でありながら、納得がいくまで自分で手を加えたらしい。派手な手振り身振りもプレゼンテーションには大切な要素であろうが、真に心から伝えたいという思いの方が大切だ。彼女のスピーチは堂々としていて感動的であった。その後に続いた安倍総理や猪瀬知事も心からのスピーチであったと思う。
 東日本大震災、福島原発事故などからの復興を、ある意味オリンピック招致に利用した感はぬぐえない。実際、被災者からは「うれしくない」とのコメントも寄せられている。しかし安倍総理は世界に向けて被災地復興を責任を持って行うことを宣言したわけであるから、是非復興事業を加速させて欲しいと願うばかりである。
確かな「戦略」と「戦術」、それを推し進める「情熱」とチーム全員の「絆」、そのどれが欠けてもオリンピック東京招致は成し得なかったであろう。このことは救急医療に携わっている我々にも同じ事が言える。「戦略」「戦術」と、救命するんだという「情熱」とチームの「絆」。是非忘れないでいたい。そして7年後、東日本大震災で被災された多くの方々が、故郷に戻り、自分の家で家族とともに感動を楽しめる、そんなオリンピックとなっていることを心より願う。